症 例 4

検   体:気管支洗浄と穿刺
年   齢:62 歳  男
検体処理:洗浄:オートスメア 95%アルコール固定。直接塗沫:95%アルコール固定
臨床経過:住民検診胸部X線要精査 胸部CTにて肺結核or肺がん疑いで紹介受診 胸部Xpで右上肺に空洞を伴う結節影(Gaffky陰性)

提供施設画像

洗浄(1枚のみ)と初回穿刺

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2回目穿刺

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提供施設判定:背景炎症性に扁平上皮由来異型細胞の出現 ライトグリーン好染異型細胞 出現少数 核中心性、多核細胞、核の大小不同、明瞭な核小体を1〜複数個認める、クロマチンは顆粒状で増量傾向 オレンジまたはイエロー好染異型細胞 円形またはビザールな型を示し多彩 核肥大、核形不整、N/C比の増大を認める クロマチンは不均一分布を示し変性傾向ながら増量  以上の所見から 扁平上皮癌を考える


事前鏡検施設画像

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事前鏡検施設判定:標本1:軽度の parakeratosis と核腫大を示す扁平上皮細胞を少数認める。核膜の肥厚や核形不整も軽度である。反応性の変化と考える。
標本2:好中球を主体とした炎症細胞とともに気管支円柱上皮細胞、macrophage を多数認める。macrophage はヘモジデリン貪食像が目立つ。それらに混じて核腫大が著しく、著明な核小体を示す大型の異型細胞を散見する。大型で核小体が著明ではあるものの、核膜の肥厚、核形不整は見られず、クロマチン増量も見られない。これらの細胞の核には核内細胞質封入体様の構造物が見られ、また細胞質にも封入体様の構造物を認める。また、細胞配列はいずれも平面的である。
標本3:標本2と同様に好中球を主体とした炎症細胞と腫大した気管支円柱上皮細胞を多数認める。標本2で見られた大型の異型細胞はごく少数であった。また、少数、parakeratosis を示す扁平上皮細胞を散見するが、反応性の変化と考える。細胞所見より硬化性血管腫も考慮したが、臨床所見が合致しないため、炎症性の腫瘤と考える。
以上の所見よりClass IIと判定する


摘出組織画像

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組織診断:Actinomycosis, right, lung LN no malignacy
右上葉にabscess様の炎症性necrotic debrisを含むcavityが形成されており、内部にはActinomycesを思わせる菌塊が確認できる.一部細胞は核腫大、明瞭な核小体、核内空胞が診られ、腫瘍性を思わせる異型腺上皮の増生を認める。しかしp53、ki-67 index lowであり、炎症に伴う反応性異型と判断される。