経緯:Ileusで当院緊急入院。CFにてS状結腸癌と診断され、手術施行。 入院時、肺門部に直径4cm大のmass指摘される。 喀痰細胞診・気管支ブラッシング・BAL施行
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中分化型扁平上皮癌由来と考えられる、小型の異型扁平上皮細胞が10数個孤立散在性に見られた。 またそれとは別に3カ所ヒモ状に見える細胞塊が見られた。これらは腫瘍の中で高分化型扁平上皮癌細胞が剥離したものと考えられた。 高分化型扁平上皮癌細胞の表層に存在する癌細胞は薄く広い胞体を有しており、核径は10〜12μmで核には強い切れ込みを認めた。細胞診標本中のこれに対応するとされた癌細胞は、正常の表層型扁平上皮細胞と同大ないしはそれよりもやや大型な細胞で、薄く広い胞体は2層構造を示し、核径は12〜15μmで強い切れ込みがあった。クロマチンの増量はなく、一見するとmild dysplasiaと判断しそうな細胞であった。 細胞診判定はClassIV〜Vとするべきであった。
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炎症背景の中に細胞は孤立散在性に出現しており、胞体は緑色又はエオジン〜オレンジ色、多辺形〜類円形、一部繊維状の胞体、N/C比は小、核中心性である。核型は類円形、クロマチン細顆粒状、(繊維状細胞で増?)核小体はクロマチン凝集と区別がつかない。明らかなcancer cellはなく炎症所見も見られmild dysplasiaが疑われた。 curratageはオレンジ好性、肥厚(+)、類円形、多辺形、不整形の胞体、N/C比中〜小、核中心性、核型は類円形、核クロマチン細顆粒状密、小型核小体1ケ見られるものあり。 以上よりSquamous cell carcinoma(well〜mod)が強く疑われた。
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WHOの図譜に示された高分化扁平上皮癌の癌胞巣の中心で錯角化に陥った細胞は薄い胞体を有し、バ−ムク−ヘン状に積み重なっている。このような病変に由来する錯角化に陥った細胞は薄い胞体を持ち、大型な表層型の細胞と考えられる。この様な形態の細胞は過去の本検討会では検討されてこなかったが今後この様な癌細胞に対する理解を緊急に深める必要があると思います。
また、高分化扁平上皮癌の表層由来の細胞はsuperficial typeの大型な細胞であると推定される。その点で鑑別すべきもっとも重要な疾患は軽度〜中等度異形成である。今後高分化扁平上皮癌や異形成に関する理解を深め、高分化扁平上皮癌由来の細胞を見逃さないこと、異形成と誤診しないことが重要であろうと思います。
(画像は拡大しません)
左:中等度分化扁平上皮癌。右:高分化扁平上皮癌。
高分化扁平上皮癌に観察された良く分化した癌細胞。細胞は大きく、胞体は薄い。錯角化に陥っているため、核異型は軽く見える。胞体には核周囲の厚い領域と胞体周辺部の薄い領域とが観察される。
サコマノ標本中の高分化扁平上皮癌由来と考えられる癌細胞。細胞は80μ大以上と大きい。胞体には核周囲の厚い部分と周辺部の薄い部分とがある。2核で、一見核異型は軽い。今後異形成由来の細胞との鑑別が問題となる。
Curettage 標本中の高分化扁平上皮癌由来と考えられる癌細胞。
高分化扁平上皮癌。錯角化に陥った大きく薄い細胞がバ−ムク−ヘン状に積み重なっている。
サコマノ標本中の棒状の細胞塊。錯角化に陥った大きく薄い癌細胞が集族して出現した細胞塊と考えられた。