症例 1

症例:72歳 男 サコマノ(ポストサンプラー)保存液処理蓄痰

経緯:1997年喀痰・肺癌集団検診にて要精検となり、その後98、99年に気管支鏡を含む精密検査を行ったが最大病変がdysplasiaであった。 平成12年度喀痰集検受診により要精検となり、精密検査が施行された。


提供施設スライド

0001 0002 0003 0004 0005 0006
0007 0008 0009 0010 0011 0012

判定:E 早期扁平上皮癌

細胞質がLGからOGに好染し、厚みを有する異型細胞が単離性から小集簇性に認められた。これらの細胞はやや大型でN/C比、増大。核濃染性、核多形性、核網不均等分布などの核異常所見や対細胞、Ghost cells、核破砕物なども混じった細胞塊としてもみられた。 6名の細胞検査士の判定はC判定1名、D判定3名、E判定2名と意見が分かれた。


事前鏡検施設スライド

001 002 003 004 005 006
007 008 009 010 011 012

判定:D Squamous cell carcinoma

軽度〜中等度異形成由来を疑う細胞の平面的集団。細胞質は薄く豊にみられ、核クロマチンは顆粒状で軽度に増量、核の腫大を認める。 小型から大型の異型扁平上皮細胞も散見される。OG好性で小型から中型の異型細胞や高度異形成由来を疑う小型でN/C比が高く核形不整、核クロマチンの増量を示す異型細胞。多核細胞も認められる。 扁平上皮癌を疑うOG好性で細胞質が厚く不整形を示し、好輝性のある小型から大型の異型細胞の小集団。2核で核形不整が著しい。


組織診断: Dysplasia

1 2 3 4

提供施設スライドに戻る 事前鏡検スライドに戻る

講師解説 

提示された細胞は小型で上皮内癌を含めた低分化扁平上皮癌由来を疑う細胞です。異型性を伴う扁平上皮化生由来の細胞との鑑別が重要です。 扁平上皮系異型細胞をSuperficial type、 Parabasal cell type等と認識し、組織像を推定することにより理解が深まると考えます。
  

 (画像は拡大しません) 

生検標本。視野中心部はIn situに近い所見、周辺部は異形成

視野左上はIn situに近い所見、右は異形成。In situの部では表層の細胞は小型で、異形成の部では薄く大型である。

異形成の部。表層の細胞は薄く、大きい。

異形成由来と考えられる表層型の異型細胞。細胞は大きく、細胞質は薄い。

異形成由来と考えられる細胞。細胞は大きく、胞体は薄い。

In Situと考えられる部。細胞は小型である。

In situ由来と考えられる小型な異型細胞。