組織診断

成人T細胞性リンパ腫

所見

 全体的には小型のリンパ球系細胞が主体であるが、少数ながら組織球も散見される。この様な症例では、通常の×10〜×40では偽陰性をきたし易いので、必ず×100(油浸)を用いて、リンパ球系細胞に核形不整および目立つ核小体が見られるかどうか、またその出現頻度についての観察が必要である。

  本症例は小型ながらクロマチンの粗さが目立つ細胞、核形不整(核のねじれ)、核小体が目立つ細胞などが多く観察され、また病変が皮膚であることから成人T細胞性リンパ腫と考えられる。

 なお、小型のリンパ腫細胞の出現が見られるとしては、B細胞小リンパ球リンパ腫、濾胞性リン パ腫、マントル細胞リンパ腫、T前駆細胞リンパ芽球型リンパ腫、末梢性T細胞性リンパ腫(レンネルト型、 T領域型)、血管免疫芽球性リンパ腫、成人T細胞性リンパ腫(小型のリンパ腫細胞を主とするタイプ)、 菌状息肉症、MALTリンパ腫(肺、唾液腺、甲状腺、他)などが挙げられる。

今回、症例TとUを比較供覧し、「リンパ球系病変の細胞診におけるパパニコロウ染色での注目点」について述べたが、リンパ球系細胞の病変ではメイ・ギムザ染色と併用して判断することが基本であり、診断精度を高めることを付記する。(次回ではギムザのMIAも作成してみたい)

画像
解説用AMI  強拡大AMIの細胞には解説が付いています。マウスカーソルをあわせて探してください。
あなたが診断した細胞(所見)と同じでしたか?
動画は開くまで時間がかかります。お待ちください。